日本のサービス業は生産性が低いという。ソフトウェア業界もサービス業に含まれるので、同様と言える。圧倒的な(人)物量にものをいわせるオフショア開発に対抗できないのは確かだが、日本自身の商習慣に問題もある。それはいわゆるシステムがカスタマイズなしに受け入れられないことだ。カスタマイズだけならまだしも、その都度再開発を行うようではコスト高になり、その結果生産性が低いと見なされるのも当然だ。しかし、これは開発業者の問題だけでなく、発注側の問題でもある。しかし、それも含めて開発側が対応しなければならない。
そのような背景の中でSaaSは有効な手法だ。パッケージソフトの開発は、それが汎用的なものでも専用であってもパッケージ数で開発費を回収する必要がある。特に特定向け専用システムのソフトは、ほぼその受注だけで開発費を回収する必要があるため、人月がそのまま経費となる。そのような支払いに応じられない発注主もいる。ほとんどすべての依頼者はコストダウンを望んでいる。そのような場合、専用ソフトの開発コストを改善する必要がある。
具体的には、専用ソフトといってもすべてが専用なのではなく再利用可能なコードが少なくない。しかし、専用ソフトで著作権が発注主に譲渡されると、容易に利用できない。著作権を開発側が保留すると、それを利益と見なされるため、すべての開発費を請求しにくい。そこで、SaaSのライセンス形態が解決の糸口になる。
SaaSでは、利用料という形で収入を得る。著作権はあくまで開発側が持つ。開発側は、仕様に応じたシステムを開発し、それを運用とともに提供する。導入費だけでなく運用費も請求する。開発経費が導入費だけでなく運用費にも分散できる点が大きい。
しかし、SaaSにも問題がある。大手開発業者は自前のSaaS環境を運用できても、中小開発業者には難しい。Amazonなどのクラウドを用いても、容易ではない。理由は、中小開発業者は開発に特化しており、運用のノウハウがほとんどないからだ。運用にも人月でコストがかかる。それだけのスタッフを常時雇用することがなかなかできない。
ソフトウェア会社は従来開発者を重視していたが、これからは運用者も重要になってくる。運用者を提供する人材派遣会社も必要になるだろう。
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