2007年10月18日木曜日

日本車が売れない理由

日本の自動車メーカーは世界では敵なし?ともいえるほど我が世の春を謳歌している。
かのように外部の人間には見える。
しかし、内実は厳しい競争にさらされている。アメリカでは労働問題が徐々に解消された3大メーカーが復活するかもしれない。ヨーロッパは安定したブランドを誇っている。中国やインドは格安自動車で対抗してくる。
日本の自動車メーカーの弱点は日本であるといわれる。しかし、これから人口の減少する日本では大きな商機はない。必然的に世界戦略が第一である。
しかし、それでも国内をおろそかにすると地盤が危うくなる。日本国内の業績が世界戦略を遂行する上で必要不可欠な推進力になっているからである。
そこで、日本で日本車が売れない理由を考える。
人口が減少するのだから売り上げが減るのはやむをえない。どうしても売り上げを伸ばしたければ、商品単価を上げるか、より多くの商品を売るしかない。
商品単価を上げる戦略は、高級車、スポーツカー、RVが中心となる。これはそれなりに成功したが、頭打ちになっている。一部の富裕層を除けば、高価な車種は1台しか買えない。よって、スポーツカーからRVへ乗り換えるなど移動が起こるだけだ。単身時代はスポーツカー、家庭を持てばRV、円熟すれば高級車と移行する。
多くの商品を売る戦略は、必然的に安いものをたくさん売ることになる。この戦略では軽や小型(特に、リッターカー)が中心となる。このカテゴリは利幅が小さいので、薄利多売になる。また、将来は中国やインドと競争しなければならなくなる。
現在、軽の売れ行きが非常に良い。しかし、軽が好調な理由は価格の他に税制面での優遇がある。個人的にも税制優遇が魅力で軽を購入した経緯がある。若干バイアスがかかった意見かもしれないが軽が他の車種と公平な競争をしていないことは間違いない。
軽が優遇される理由は、小型車は燃費が良い、駐車スペースが小さくてよいなどの理由と考えられる。しかし、軽が若干大型化し、法律も改定されてからは、これらの理由が成り立たなくなった。実際、軽よりリッターカーやハイブリッド車の方が燃費がよい。また、軽は小さいがゆえに車高を高くする傾向があり、立体駐車場に入らないものも多い。路上駐車すれば他の車同様に邪魔になる。これらのことから遠くない将来軽自動車の優遇税制は見直されるだろう。軽自動車メーカーは今から対策を講じる必要がある。軽の技術を活かした小型車を作るべきだ。
購買層から見ると団塊の世代は退職し、やがて運転もしなくなる。それまでの期間、団塊世代の購買能力に頼るなら、「やさしい」車作りを行う必要がある。日本の車は女性化しているという人もいるが、それは日本車の特徴となるかもしれない。男らしさを求める購買層には受け入れられないかもしれないが、ヨーロッパ市場は今後、日本同様高齢化すると予想されるので、やさしい車は受け入れられるだろう。しかし、それ以外の若い市場では受け入れられないかもしれない。やさしい車は新たな価値だが、万能ではない。
また、購買層は二極化する富裕層と貧困層だ。中流がいなくなるので、中間層がいなくなる。
富裕層には、フェラーリのような車を売ればよい。日常の足にはハイブリッド高級車を、趣味の足には最高速度500km/hを超えるモンスターマシンを(しかも電気自動車で)、仕事用には走るオフィスを売る。
貧困層には、維持費の安い多機能な小型車を売る。自動車本体ではなく、オプション、カスタマイズ、装飾品で利益を上げる。小型車であっても高級車と同様の装備を提供し、後付できるようにする。

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