ITの資格ではない。ITによって資格の意味が変化するかもしれないという話である。
当然、ITの資格はITの変化によって変化する。しかし、IT以外の資格もITの進歩によって変化せざるを得ないこともある。
例えば、今話題の漢字検定だ。難しい漢字を空で書けたり、読み仮名を知っていたり、当て字の地名や人名を読めたりする知識を検定する。一見、人間的な技能に見えるが、ほとんどは記憶にすぎない。ようするに暗記だ。
このような種類の資格は脳を拡張するコンピュータの前にほとんど実用性がない。
もちろん漢字検定に全く意味がないわけではない。コンピュータがなければ漢字が書けなくなっている昨今、人間の記憶力を鍛えなおす意味がある。それが前向きの進歩かどうかは議論の余地があるが、頭を使うことから老化対策にも有効だろう。しかし、それがイノベーションにつながるような資格ではない。
多くの資格は人間がする作業をマニュアル化したものだ。そのマニュアルを覚えた人に資格を与える。運転免許しかり。しかし、多くの資格は必ずしも機械化できるとは限らない。今でこそ車をロボットが運転できるようになっているが、まだまだ実用化には程遠い。少なくともそれまでは車の免許は人間が苦労してまで取得する意味がある。しかし、ロボットでも安全に運転ができるようになれば免許の意味はなくなる。
資格の有用性は、おかしな話だが、マニュアル化されていればいるほど有効であり、かつ短命だ。つまり、優れた資格ほどすぐに役立たずになる。機械化しやすいからだ。
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