2008年6月7日土曜日

P2Pのたそがれ

P2Pが有効であるためには前提がある。それはクライアントとサーバの性能差が小さいことだ。
CPUメーカーのIntelもP2Pを推進している。これは一見不思議に思える。なぜならIntelはサーバ用CPUが売れたほうが収益がよくなるからだ。しかし、クライアント同士が連携するP2Pに価値を見出している。その理由はサーバ用CPUとクライアント用CPUでそれほど性能差がないからだ。つまり、ASPなどをサーバサイドで提供するにはクライアントと1:1に近い比率でサーバを用意しなければならない。それはあまりに無駄なのでサーバの負荷をクライアントに振り替える技術が重要だ。その結果、P2PやAjaxが重要となる。
しかし、最近その前提が崩れつつある。クライアントではULCPC、MIDのようなネットワーク端末に特化した形態も増えている。その結果、サーバにはmany coreが採用され、クライアントでは省電力型シングルコアが採用される。これはクラウドでは必然の流れだ。両者の性能比はかなり大きくなってきた。PS3のようなマルチコアのゲーム機は例外だ。
非力なクライアントではサーバの代替にはならない。そのようなクライアントはP2Pの輪からはずれる。もっともそのようなクライアントまでP2Pに取り込む研究もあるにはある。しかし、性能差の慣性は大きいだろう。
したがって、PCからULCPC、MIDへのシフトが進めば、P2Pは衰退せざるを得ない。ただし、すべてのクライアントがULCPCやMIDになるはずがない。その意味では、P2Pには一定の市場が残る。もしかしたらサーバサイドP2P(S2S?)を真剣に検討する時期に来ているのかもしれない。

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