2009年5月29日金曜日

並列計算の意義

並列計算ほど今の教育で認知されていないものはないかもしれない。
昔は並列化する理由として、問題内に潜在的にある並列度を引き出すことで性能が向上できると説明していた。しかし、遅延は隠ぺいできても性能そのものが向上するわけではなかった。結局早くはならないのであまり見向きもされなかった。
しかし、今では、マルチコアのように元々並列に適したマシンがあるのだから、これを有効に使わなければならないと言えるようになってきた。そして、並列化すれば実際に早くなる。
ところが、早く計算するための並列プログラミングは、教育現場でほとんど教えられていない。むしろネットワークプログラミングや分散プログラミングの方が進んでいるといってもよい。これらはインターネットの進歩とともに受け入れられた。インターネットを使えないプログラミングはさすがに誰の目にも無意味だと映ったのだろう。
しかし、分散計算は並列計算に属する。つまり、逐次、並列、分散という順に学習しなければ、本当の分散は理解できない。にもかかわらず中間の並列はほとんど無視されている。そろそろ、そのような状況は見直されるべきだろう。そうでなければ、マルチコアを活かしたアプリケーションが開発できない。

白い屋根

Steven Chu氏の提案により白い屋根や道路が増えるかもしれない。道路は個人でどうこうできないので、ここでは屋根について考えてみる。
そういえば日本の屋根は白くない。沖縄には白い家もあるかもしれないが、瓦は白くない。白い屋根を実現するには、白い瓦を造る必要がありそうだ。
そのうち日本中、あるいは世界中がギリシアのようになるのかもしれない。しかし、それぞれの風土や文化があるので、その文化と色を融合させるのはそう簡単な話ではないだろう。これから白が政策的な流行色となる可能性もある。

共有型仮想マシン

仮想マシンと分散計算は、ある意味でベクトルがまるで違う。分散計算はn台でn倍の性能を持った1台を構成することを目指している。しかし、仮想は1台を1/n台として使うことを目指している。
分散計算ではn台使ったからといって必ずしもn倍の性能が得られるわけではないことが知られている。いわゆるscalabilityだ。
しかし、仮想マシンは1/n台に分割しても必ずしも性能が1/nになるとは限らない。もちろん全く異なるタスクを実行すれば1/nとなるだろう。しかし、うまく配分すれば1/nを超える可能性がある。要は各マシンの空き時間に対して仮想化のオーバーヘッドが小さければよい。そしてほとんどの場合で小さくすることができる。
このように考えると仮想化した方がかえって実際の性能が向上する可能性も否定できない。すると仮想マシンを集めて資源を共有しようという考えが有効だろう。これを共有型仮想マシンと名付けてみた。

Google Latitude日本語版を望む

Google Latitudeは大きな可能性を秘めたサービスだ。それ自体では現在位置を知らせることしかしないが、今後ライフログの主要なサービスの一つとなる可能性がある。しかし、その肝心なGoogle Latitudeが日本では使えない。もちろん日本でもGPSや地図は使えるのだから、使えない理由がよくわからない。ぜひ使えるようにしてほしいものだ。
Googleも手を広げすぎていて開発が間に合わないのかもしれない。しかし、Latitudeのような基本的なサービスは、開発に大きな困難があるわけではなく、あるとしても多言語化くらいだろう。もちろん国によって法律が違うという問題があるかもしれない。どのような開発体制なのかわからないかLatitudeチームが早く日本を対象にしてほしいものだ。

2009年5月28日木曜日

デジカメとカメラで簡単コンテンツ作成

PowerPointのプレゼンテーションとカメラの動画を合成してコンテンツを作成するシステムがある。Producer for PowerPointのような無料版まである。しかし、ProducerはOffice 2003までしか対応していない。確かにあまり出来の良いソフトではなかったが、もっと機能を充実させ、Officeに組み込むことはしないのだろうか?
PowerPoint専用のオーサリングツールは多いが、限定されるので、不都合なことも多い。しかし、汎用のものは高価だ。
講演を手軽にコンテンツに変換するには、必ずしも完璧な美しさは必要ない。実際、PowerPointの投影をビデオ撮影しているものも多い。しかし、PowerPoint画面はほとんど変化しないので、わざわざビデオに撮る必要はない。そこで、スライド画面はデジカメで撮り、演者のみカメラで撮影するシステムを考える。
しょせんニッチにすぎないかもしれないが、かなり手軽にできるので、このようなシステムがあると喜ぶ人は少なくないのではないだろうか。

デジカメとiPhoneの連携

iPhoneのカメラは貧弱だ。次の機種で改善されそうだが、今の機種がソフトウェアのアップグレードで変わるわけではない。
一方、デジカメはすばらしい。写真を撮るなら当然デジカメがよい。しかし、デジカメにも問題がないわけではない。メモリカードが不足することがある。デジカメにはEyeFiなどがもあるが、WiFiのないところでは使えない。
そこで、両者が連携するとよい。iPhoneがサーバになり、デジカメで撮った写真を次々保存する。たまったら転送する。
その時、デジカメとiPhoneをadhocで接続できるSD互換通信カードがあるとよい。iPhoneがadhocで接続できるかどうかは知らない。逆にiPhoneがAPになるinfraモードでもよい。しかし、その方が禁止されていそうだ。接続の仕方は工夫が必要だろう。
より直接的な方法はドック型のデジカメだ。ソフトウェアはすべてiPhoneアプリとし、ハードウェアとしてスマートなカメラ付きドックとする。常にその状態でき携帯できるほど一体感のあるものがよい。それなら現在の機種でも高性能なデジカメを兼用できる。

ネットブックのグリッド

Gridは余剰資源を活用する分散コンピューティングだ。いま世の中にはネットブックが増えてきている。これをグリッドに活用できればもっと有効に活用できるかもしれない。そこで、ネットブックでグリッドを行い、その有効性を評価する。
科学論文ではないので、あまり詳細なことは述べない。グリッドはWorld Community Gridを用いた。WCGは、結果の履歴がWebで確認できるので、容易に比較ができる。
ネットブックは、EPSON Na01-mini、典型的なAtom採用のネットブックである。他にASUS Eee Boxも評価した。価格はいずれも約5万円だ。ネットブックの性能はほぼ等しく、1日に平均1つの結果を返した。
それに対してDell Optiplex 750は平均3つ、MacBook Proは平均4つの結果を返した。前者の価格は10万円、後者は30万円なので、価格性能比はDellの方がよい。MacBook ProのCPUはCore 2 Duoだが、もっと安い機種もある。その場合の価格性能比はさほど変わらないだろう。
結論からいえば、ネットブックのグリッドはそれほど効率よくない。しかし、今後Dual CoreのAtomが出れば、容易に逆転する可能性もある。また、今回評価していないが、消費電力も重要な要因だ。省エネ効果はAtomの方が高い。ネットブックの進歩を考えると、将来は明るいように思える。

Chromeは遅い

前の記事でChromeをほめたように書いたが、ここでは批判する。少し使いこんでみると問題点が非常に多いことがわかった。
まず、タブをプロセスとして実装する方針だが、これは非力なマシンには問題のある実装方法だ。私の使っているノートPCはいささか古くなったが、それでもネットブックよりは速い。にもかかわらずChromeを使い、タブを景気良く開くととても遅くなる。Firefoxなら決してそのようなことはなかった。信頼性も結構だが、使えないのでは意味がない。
そこで、スレッドとプロセスを併用する実装方法を考えてみる。例えば、安全なページ(HTMLのみなど)はスレッドで軽く表示し、そうでないページはプロセスにしてはどうだろう。もっとも接続を待つ段階でプロセスに分ける必要があるかもしれないので、プロセスとスレッドをどのタイミングで分けるかが難しいところだ。
プロセスで実装しているため、必然的に重くなる。そのため応答性が著しく悪い。おそらく余裕のあるマシンでは問題とならないのだろう。しかし、非力なマシンではタブを2~3枚開いたくらいでミス操作が多発する。具体的には、タブをクリックして切り替えるときに、キーを離すタイミングを見失うようで、タブがドラッグされる。タブをドラッグするとウィンドウになるのはChromeの仕様だが、ほぼ毎回ウィンドウに変わり、大変煩わしい。
タブのプロセス実装は、軽快さを売りにするChromeとしてはかなり問題のある実装方法だ。スレッドのままバグを減らしていく方が現実的かも知れない。

2009年5月27日水曜日

NoCでクラスタを1チップに

マルチコアによって並列度が十分にあればリニアに性能を向上させることが可能になってきたように思われている。しかし、厳密にはなかなかリニアには向上しない。サーバ用途ではタスクが独立しているため、比較的容易にリニアな性能向上が実現できる。しかし、それ以外の用途ではおのずと限界がある。そこで、マルチコアが限界に行きついた先を考えておく必要がある。
1つの方法はNoC(Network on Chip)だろう。マルチコアが複数のCPUを1つにしたものだとすれば、NoCは複数のPCを1つにしたものといえる。おそらくマルチコア+NoCとなるだろ。そのときNoCに集積される典型的なアーキテクチャはIntel互換で揮発性と不揮発性の両メモリを備えているだろう。HDDからSSDに変わったため、NoCを構築しやすくなった。
メモリの容量はいったん決めると変更が難しい。よって、十分な容量を確保する必要がある。あるいは容量を性能劣化なしに変更する方式を考案する必要がある。十分な容量としてはAmazon EC2のようにメモリ1GB、ディスク160GBなどの値が参考になる。これはネットブックにも該当する。

省エネ壁紙

いつか黒い背景が省エネによいという話があった。BusinessWeekの記事[1]によれば、マーク・オントクシュ氏が提唱したらしい。しかし、同記事にもあるが、これが効果があるのはCRTの場合だけのようだ。いまどきCRTを使うユーザはいないだろう。よって、黒い背景は環境に寄与しないといえる。しかし、最近VAIO type Pに省エネ壁紙(スタミナ壁紙)が存在し、白だという記事[2]を読み、理由がわかった。
液晶の、実際には背景を黒にしてもバックライトが切れるわけではない。しかも、液晶は加圧して黒くするので、逆に消費電力が増えるという。それゆえ、白い壁紙を使った方が省エネになるらしい。その意味では、Googleが白い背景を使っているのは悪いことではなかったようだ。
しかし、明るすぎる白は目にやさしくない。省エネだけでなく健康にもよい壁紙を考える必要がある。

[1] http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070828/133335/
[2] http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090122_eco_wallpaper/

2009年5月26日火曜日

Chrome

Google ChromeはIEやFirefoxより快適に動作する。Safariも同様だが、Chromeにはページがプロセスで処理されていることによる堅牢性がある。
しかし、まだFirefoxから離れられない。その一番の理由はアドオンだ。特にGmarksなしではいられない。しかし、GmarksはFirefoxのみのアドオンなので、Xmarksへの移行は考え中だ。それでもChromeやSafariには対応できない。
ブックマークはソーシャルブックマークを使えばよいとの意見もある。最初はそうだと思ったが、既存のソーシャルブックマークは何ステップにわたって検索しないと目的のページが見つからない。アドオン並みに使い勝手の良いブックマークが欲しい。それがでるまではGmarksを手放せない。
しかし、それ以外の理由でChromeを使うこともある。ブックマークも重要だが、接続できることはより重要だ。Firefoxでは接続できないのに、Chrome、IEでは接続できることがある。このあたりはバグかもしれないので、改善してほしいところだ。

2009年5月18日月曜日

パスポートの即日発行

成田空港に着いてパスポートを持っていないことに気づいた時にはもう遅い。何もできずに帰るしかない。それは大変残念なことだ。そのようなことがないように行政サービスを改善してはどうだろう。
そのためには成田で即日パスポートを発行できなければならない。しかし、個人を特定する様々な書類は簡単には用意できない。そこで、住民基本台帳ネットワークを活用し、少なくとも1つの身分証からその他の必要な情報の保証を与えて、簡易パスポートを発行できるようにすればよい。
しかし、原理的には可能であっても、まだまだ多くの問題がある。それは、いったんこのようなことが許されると皆がこのサービスを使い始めてしまい、対応が間に合わなくなる可能性がある。通常、海外旅行では、2時間前に到着することになっている。これは座席予約などを含めたチェックイン、出国のための時間である。これにパスポート発行を含めると、パスポートは遅くとも30分で発行できなければならない。りっぱなパスポートは無理かもしれない。今のパスポートには、5年(黒)と10年(赤)の2種類がある。1年くらいの簡易版を加えて、発行を簡素化した方がよいかもしれない。あるいはA4専用用紙1枚の簡単な印刷物で代用してもよい。

ファンドによる経済対策

政府は15兆円もの大規模補正予算で経済対策を行おうとしている。しかし、その経済効果が疑問視されている。単に借金だけ増える可能性もかなり高い。
このような経済対策では、国レベルで方針を立てるべき分野とそうでない分野がある。市場原理が働かない分野では国が主導しなければならないが、すでに市場が先導する分野では市場に任せ、それを活性化した方がよい。特に、今回の経済対策は、あくまで不況を乗り切るための経済対策であり、福祉政策ではない。よって、市場を活性化させる方策だけが必要だ。
そのような観点から考えると、政府が直接個別の案件を策定するのではなく、政府の方針に沿ったファンドに資金を与えて、企業活動を活性化させた方がよいようにも思える。もちろん、ファンド自体が民であるから、公的資金を注入するには条件が必要だろう。しかし、うまく動いている資金の足かせになるのもよくないが、無駄に使われるのもよくない。この辺のバランスをとる方針だけ打ち出せば、あとは市場に任せればよい。

2009年5月15日金曜日

Venus

富士通が開発したVinus(SPARC64)はIntel CPUの2.5倍の性能と1/3の消費電力を持つ世界最速CPUだそうだ。久々に日本の半導体技術の成果として明るいニュースだ。
しかし、あまり安心もしていられない。問題点は2つある。
1つは、用途だ。Intel互換CPUではなく、Sunが撤退するかもしれないSPARCアーキテクチャを引き継いだCPUだ。パソコンなどには使えない。Linuxノートブックにも適していない。スパコンが現在想定されている唯一の用途だ。サーバには使えるかもしれないが、1/2.5でもソフトの多いIntelを選ぶ方が普通だろう。
もう1つは、将来性だ。いまだけ世界一になっただけではあまり意味がない。Venusアーキテクチャに基づくCPUが次々と開発され、そのたびに世界一を更新していくような将来性があるかどうかだ。スケーラブルな性能の伸びが期待できれば、商用価値も高まる。

2009年5月12日火曜日

タクシー検索

地図に基づく経路検索は便利なサービスだ。路線から始まり、最近では車にも対応してきている。しかし、バスはまだだし、タクシーも未対応だ。
タクシーはれっきとした交通機関である。公共性は低いかもしれないが、重い荷物を持った人や体の不自由な人には欠かせない。
タクシーはどこでも捕まるわけではない。タクシーを呼んでから来るまでの時間を織り込んだ検索だとよい。
タクシーの経路は車の経路とほとんど等しい。裏道を知っている運転手は異なる道を選ぶかもしれないが、それは例外としてよい。車の経路は既に検索可能であるから、渋滞の度合いを盛り込めば、より現実的な所要時間になる。渋滞度はVICSなどから得られるだろう。
タクシーの料金は会社によって異なるが、平均値ないし最大値を用いればよい。

2009年5月11日月曜日

昼夜でクラウド

前記事のアイデアを昼夜の温度差に適用すると昼夜クラウドになる。
多くの場合、夜間コンピュータを使うことはない。夜間は経済活動が不活性化するからだ。しかし、他の昼の国では資源が不足する。このような資源の不足を融通しあい効率的な利用を薦めることが重要だ。
これはそもそもグリッドの思想でもある。しかし、クラウドでも同様だ。
昼夜の温度差は十分、データセンターの省エネに活用できる。特に、原子力発電が普及すれば、安価な夜間電力が多量に生産される。

南北でクラウド

グリッドは冬に限る。クラウドも同様だ。
しかし、クラウドはデータセンターの場所を手軽に移動できない。そこで、常に冬の場所でクラウドを行うことが考えられる。かといって、北極や南極にデータセンターを作ってはかえって問題が大きい。そこで、北半球が夏の時は南半球で、またその逆を行えばよい。
南半球で安定した電力が得られる国は多くない。しかし、経済発展により、オーストラリア、南アメリカ、南アフリカはいずれも検討に値する。対投資効果は1/2になるかもしれないが、全くの無駄でもない。

自販機グリッド

日本では自販機が広く普及している。自販機でも販売促進のために定期的なデータ収集が欠かせない。そのために自販機をネットワークに接続することも重要な課題だ。もし自販機がネットワーク化されれば、新たなプラットフォームが登場したことになる。
自販機では、特に冬場は飲み物を温めるために電力を消費している。温めるための電力に意味のある計算をさせようというものが自販機グリッドだ。
自販機には今でもマイコンが内蔵されているので、それを高性能化するのはおかしな話ではない。例えば、広告を表示する自販機のプロセッサはパソコン並みのものが使われているだろう。もっとも低価格ネットブックやPDA相当のものだろうが。それでもグリッドを行う意味はある。
グリッドとして計算資源を提供する見返りに電力消費量の一部を負担してもらえる。無駄に熱になってたエネルギーがお金になるというのは、自販機を設置する経営者にとってもうれしいことだろう。

2009年5月4日月曜日

自分を変えるブログ

ブログを用いて自分自身を見つめることができる。
自分の課題、学校・職場・家庭・組織などの課題をブログに書くだけでよい。それが出発点になる。
書かれた課題は、いつでも好きな時に客観的に分析できる。
それを克服するアイデアを考えていくことができる。

アイデアマラソン

最近、アイデアマラソンの本を読んだ。このブログもアイデアマラソンをしていることになるようだ。しかし、本格的なアイデアマラソンに比べると不十分な点も多いことを学んだ。
アイデアマラソンのステップを簡単に紹介すると、以下のようになる。
(1) ノートを決める。ルーズリーフがよいらしいが、すでに紙媒体を放棄した人間からいうと、この時点で同じ道を歩むことはないだろう。
(2) 考える。アイデアマラソンでは1日当たり2つのペースが最良だという。しかし、このブログでは1日当たり1つのペースが精いっぱいだ。もっとも、このブログには直接の論文ネタは入れていないのだが。
(3) ノートに書く。私はブログに書いているが、ノートの方が書きやすいのは確かだ。実際、私もメモは紙も併用している。PDAより紙の方が断然入力が早い。
(4) 周りに話す。このようなことはしていなかった。もっとも、私の場合、このブログはビジネスではなく、単なる趣味なのだが。
(5) ネタを企画化する。つまり、ネタを見直して、グループ化し、ものになりそうなものをさらに精錬する。この過程で、ネタは1/10以下になる。いままで、このブログでは同じアイデアを意図的に再利用したことはなかった。しかし、車輪の再発見も時には意味があるかもしれない。少なくとも車輪の改良になればよい。
いろいろ考えさせられる点が多いが、おそらくこのブログは、このまま続けていくだろう。いままで曲がりなりにも続けた結果、ブログはノートとして十分使えると考えている。しかし、Bloggerは、アイデアマラソンに適さない部分もある。1つは非公開のアイデアを整理する機能が十分でない。また、記事の日付が作成日となり、公開日ではない。これはアイデアをメモするには適するが、推敲するには適さない。

ガリア戦記

ガリア戦記はカエサル自身の手による著作として知られる。古今東西の文学作品の中でもっとも有名なものの一つといってよい。しかし、これを読むのは並大抵のことではない(と思う)。
ガリア戦記を読んで、その文学性に衝撃を受けたという人は枚挙にいとまがない。しかし、私は大学生頃に一度これを読もうとして挫折した経験がある。もちろん日本語版でだ。にもかかわらず、読み切れなかったのは、全く面白さが伝わってこないからだ。文体は極めて単純であり、読みやすい。それは間違いないが、不可解な人名ばかり登場し、文脈が全く分からない。
しかし、近頃、塩野女史の著作でガリア戦記の背景を知ったうえで、読みなおしてみると面白いほどよく分かる。当時の人々は、このような予備知識があったからこそ、この作品を読み切ることができたのだと思う。つまり、歴史を知らなければ読めない作品だと思う。
また、日本語訳があまりに学術的で、小説家の文章ではなく、学者の文章であることにも抵抗を感じる。人に読んでもらおうという工夫より正確な情報を残そうという意図の方を重視している。また、日本語とラテン語の違いもあるのだろう。訳文からは、原文がなぜこれほどまでに称賛されるのかが、全くうかがい知ることができない。
そして、最後にカエサルの著述は口述筆記だとも言われる。おそらく報告書をもとに編集されたものであろう。そのためか、過剰な装飾によって表現するのではなく、事実をもって納得させる書き方になっている。これは論文の書き方に近い。そのためか、論文の書き方を全く理解していなかった昔は読めなかったが、自分でも書くようになった今は読めるようになったのかもしれない。しかし、論文に似ているといったが、論文そのものではない。自分を弁護する記述がいたるところにあり、文章も必要以上に冗長だ。このあたりは明確な目的のために書かれた文章だと思える。

スキャナ式洗濯機

現在の主要な洗濯機は大きなドラムを回転させるため、エネルギーも水もたくさん使う。水に関してはオゾン洗浄なども登場しているが、基本的には少なくない水を使う。また、エネルギーは乾燥分を除いても、衣類だけでなく、ドラム自身を回転させるので大きなエネルギーを使っている。
これでも別段不自由ではないが、新たな可能性としてスキャナ方式も考えられるのではないかと思う。
ここでいうスキャナ方式とは、洗浄したい局部に超音波を当てる方式を意図している。ドラムを回転させるのではなく、超音波を発生させるだけなので、エネルギーはおそらく小さい。しかし、衣類をスキャンすること自体が難しい。タオルだけなら簡単だろうが、衣類の形状は様々だ。よって、当面実現は困難だろうが、基礎研究が進めば将来復活する可能性もある。例えば、ズボンプレスのように衣類を挟み込んだまま全面で洗浄してはどうだろう。
衣類を1枚ずつ選択するのは手間がかかるが、洗濯だけでなく、乾燥やアイロンがけまでしてくれるなら手間をかける意味が十分ある。

小さな世界での感染

自然現象や社会現象の多くをSmall World(SW)という概念で説明することがある。SWの例に、知人関係のネットワークがあげられる。知人関係をたどった場合、任意の2者を隔てるのはわずか6名しかいないそうだ。このような不思議な構造の裏には顔の広い有名人の存在がある。すなわち、ハブノードである。
SWはインフルエンザの感染も説明する。そこで、今回の新型インフルエンザいについて考えると、水際での防御など不可能だと思う。
アメリカは大国だ。SWでも間違いなくハブである。今の世界はアメリカを無視して成り立たない。アメリカに渡航せずに商取引することなど不可能だ。
新型インフルエンザは、ハブであるアメリカに侵入してしまっている。本来ならハブ部分こそ死守するべきだった。しかし、今回は発生源がメキシコだったのだろう。世の中に知られる前にすでに本丸が落城していた。
こうなってはもはや世界的な感染は免れない。時間の問題と言える。よって、水際で防止する意味は、感染の拡大を防ぐことではなく、ワクチン製造までの時間稼ぎと割り切るべきだ。