2009年2月2日月曜日

住基ネット≒外字プロジェクト

住基ネットは、定額給付金で再びやり玉に挙がっている。つまり、大枚はたいて開発した住基ネットが定額給付金の支給でほとんど役立たないことが判明したからだ。
確かに住基ネットは活用されていない。実際に調べてみると、その使われなさが痛々しいほどだ。役所では端末がほこりをかぶっている。最近、ようやくe-Taxで復権の兆しが見えてきたが、活用されるにはまだまだ時間がかかるだろう。
そこで、住基ネットの意義は何だったのか考えてみる。
そもそもの基本設計が抜本的に間違っていたと思うが、百歩譲って当時の(今も変わっていないが)制度下ではやむを得なかったのかもしれない。
しかし、1つ認めてもよい部分がある。それは日本人の名前の文字をほぼ完全に電子化することに成功した点だ。「ほぼ」というのは、残念ながらそれでも完全ではなく、一部では文字コードの代わりにイメージが使われているらしいからである。
漢字がいくつあるかという問題は、文字符号が登場する前後でよく議論されることだ。Unicodeには多くの批判があったが、グローバル化の流れの中で無視できない存在となった。一方、超漢字など日本独自仕様は埋もれていった。しかし、地方自治の現場では名前の電子化は最も重要な基本処理である。とても標準Unicodeだけでは対応できないことは明らかだ。
住基ネットの開発によって、全日本人の氏名が電子化された。すべての文字にコードがつけられたわけではないが、少なくとも電子的に表現可能となった。この意義は大きい。その数は10万文字を超えるという。
なぜ、このように大きな数になってしまうかと言えば、誤った漢字も多く登録されてしまっていたからだ。例えば、出生届に手書きで氏名を書くとき、間違って点を1つ多く記入すると、それで新しい漢字が誕生することになる。今では、もうそのようなことはないが、チェックが不十分であり、識字率も高くなかった頃には多くの誤字が登録されていたのだろう。不見識かもしれないが、異体文字にも歴史的には一種の誤字が含まれると思う。
この作業に対して400億かかったわけだが、これを高いと考えるか安いと考える方は個人差があるだろう。ちなみに、すべての国民の氏名を電子化するのに400億かかったのに対して、すべての国民に12000円給付するのに800億かかるとすれば、どちらが有意義だろうか?

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