2010年12月14日火曜日

スケールの変遷

クラウドはスケールアップではなく、スケールアウトが用いられる。スケールアップはサーバ1台あたりの性能を向上させること、スケールアウトはサーバの数を増やすことである。今はもっぱらスケールアウトが注目されているが、スケールアップが駄目だというわけではない。そこで、スケールアップが有効であること、また時にスケールダウン(ダウンサイジング?)も重要だということを述べておきたい。
すべての成長はどこかで限界に達する。システムの規模は飽和する。飽和するまではスケールアウトが有効だ。しかし、飽和したらスケールアウトは使えない。たとえば、地球の表面すべてをデータセンターにすることはできない。現実的でない。
そこからさらに成長するにはスケールアップするしかない。生物に似てシステムも新陳代謝を行う。壊れた部品は破棄され、劣化したサーバも新品に交換される。新しいサーバは当然古いサーバより性能がアップしている。すなわちスケールアップとなる。
スケールアップされたシステムは少ない台数でも以前と同じ性能を持つ。よって、台数を減らすことができる。全体の性能を下げることなくスケールを小さくすることができる。これはスケールアウトの逆だ。しかし、台数を減らしてもまだ成長段階である。
その成長も、やがて電力消費がボトルネックとなり、止まる。電力は共有資産であるから一企業がすべてを占有することはできない。もちろん自前の発電所は別だ。成長の余地がなくなれば、その余地を自ら作るしかない。すなわち性能を向上させるより電力消費を下げる。性能は同程度でも省エネのサーバに切り替える。そして再びスケールアウトし、スケールアップで空いた余地を埋めていく。
やがて再び新たな原因により成長が停止する。そしてその原因に対処した新たなサーバでスケールアップする。また、スケールアップで空いた余地をスケールアウトで埋めていく。この連鎖を続く限り繰り返す。
成長を最後に止める原因は「不必要となること」だろう。市場のニーズが飽和し、新たなサーバを必要としなくなった時、おのずと成長は止まる。

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