2009年11月18日水曜日

論文生産法

論文のオリジナリティを判断するとき30%ルールが適用される。つまり30%内容が異なれば別の論文とみなされるということだ。このルールを厳格に守ると同時に、積極的に利用することで、論文の生産性を高めることができる。
まず2ページの論文を1週間ほどで書き、次に4ページ、6ページ、9ページと1週間ずつ増やす。執筆中に得られた成果を盛り込むことで、30%ルールを満たす。
2ページ版では設計と実装について述べ、基本的な性能を示す。2ページでは評価のために多くの図表を用いることは困難である。また、設計や実装に関しても十分な記述はできない。
4ページ版では、2ページ版とほぼ同じデータを用いるが、詳細に記述する。
6ページ版では異なる条件下で詳細な性能評価を行う。4ページ版までは点としての評価だが、6ページ版では線としての評価になり、傾向がわかる。
9ページ版では性能以外の評価を加える。線の評価が面になる。
この方式では最短4週間で4本の論文が生産できる。これにアイデアを創造するプロセスが加わる。
基本的にアイデアは常に考えているので、アイデアが枯渇することはない。次にすべきことは把握している。
アイデアを実現するための計画に1週間を費やす。最初に詳細な検討をすることで、無駄な時間を大幅に減らすことができる。
次に設計を行う。これに1週間を費やす。
次に実装を行う。これには1週間以上かかる。以前のテーマと大きく異なるほど時間もかかる。よって、実装から逆算して、1週間で実装できるテーマを選択する。最終的な目標までを多くのプロセスに分解し、それぞれで成果を示す。通常は研究するほど新たな課題が見つかるため、初期の目標は高すぎない方がよい。
最後に評価を行う。これには1週間を費やす。この段階で2ページ版を執筆するのに十分な材料が手に入る。
この方法には問題点もある。論文の新規性は低く評価される。公平に見てもぎりぎりだ。質を量でカバーする戦略なのでやむを得ない。
また、執筆に費やす時間が長くなるので、相対的に実装に費やす時間が短くなる。そのため成果物としてのソフトの質は低い。しかし、論文にとって必要なのはソフトよりデータである。データの信頼性を確保するレベルであれば、手を抜けるところは手を抜いて構わない。これが製品開発と異なる点だ。しかし、製品開発でも不必要な創造性はかえって邪魔になる。いわゆるエンジニア症候群だ。抜くべきところを抜き、次の手を進めるということだ。よって、ソフトの質は大きな問題ではない。それより論文を書くことで、じぶんがすべきことが見えてくる。それは耐えず新たな目標を持つことにつながり、持続力を養う。プログラムばかり書いている理系エンジニアより顧客に接する文系セールスマンの方が評価される所以でもある。
最後に費用の問題がある。発表しない論文は存在しないに等しい。よって書いた論文は発表する必要がある。しかし、発表は無料ではできない。そのため経由が必要となる。2ページ版は全国大会などで発表できる。この費用は安いのでほぼ無視できる。次に6ページ版は研究会で発表できるが、これも安い。しかし、4ページ版には適当な発表場所がない。そこで紀要などに用いる。紀要も経費は安いが、正式な業績としての評価は低い。9ページ版は論文誌に投稿する。しかし、新規性があまりに低いと採択の可能性もない。また、掲載料や別刷代がかなり高い。論文誌でなく国際会議へ投稿した場合には、さらに出張費がかかる。最後には予算がボトルネックになる。

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