2010年1月1日金曜日

種の境界

これはあくまで素人の素朴な疑問に過ぎない。
来年は虎年だ。虎は大きな猫であり、同じ猫科のライオンとは子をなすこともできる。しかし、多分、一代限りであろう。よって虎とライオンが同じ種とはいえない訳だ。このように普通は遺伝的交配が可能かどうかによって種を定義する。
ここまでは素人にも納得できる。
しかし、遺伝的交配以前に体の大きさが余りにも違ってくると、物理的に交配できないだろう。もちろん地理的距離もある。生物学的に交配可能でもその他の条件で交配の機会がなくなると、もっと早い段階で種は別れ始める。
生物学の種の定義は医者の診断のように確実なものであるが故に種の境界のかなり内側を囲っているのだと思う。
人間が距離と時間を克服するまでの間、一つの種として維持できていたことは奇跡かもしれない。あるいは、技術の進化は生物学的進化と比べようもない程早いこと、またどんな時代でも歴史が示すように戦争や通商による交流が耐えなかったことなどの証かもしれない。
ちなみに、なぜ技術の進化の方が生物学的進化より早いかと言えば、戦略が異なるからである。前者はある種の偏った目的を持った最適化だが、後者は生存そのものを目的とする。また、前者ではエリート戦略などが活用される。
奇跡という大げさな表現をしたが、おそらく確率的には必然の結果だろう。進化の時間スケールはあまりにも大きいのでちょっとした文明の栄枯衰退は種の活動の一部に過ぎないのだから。

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