2011年3月23日水曜日

集中型住民基本台帳

災害によって住民基本台帳を失った自治体が多い。住民基本台帳はネットワークされたが、その大元は紙で残されていた。しかし、今回の震災で紙とデータの両方を失ってしまった可能性がある。データは遠隔地にバックアップされていれば安全なはずだが、これほど広域の災害ではバックアップ先も被災した可能性がある。想像だが、おそらく遠隔地にバックアップされていなかったのだと思う。
住民基本台帳ネットワーク、いわゆる住基ネットは分散型のシステムである。末端は自治体が管理する。これは住民基本台帳の管理自体が自治体の業務であるため、それを取り上げることがないように配慮したためだ。しかし、これは余計な配慮である。
このブログでも以前に取り上げたが、分散システムは十分先端的だが、適用には適不適を考慮する必要がある。住基ネットは集中型の方がコストも安く使い勝手がよい。古い法律に縛られて新しいアイデアを生かせなかった失敗例だ。
最初から集中型であれば、今行っている台帳の修復など全く不要であった。ネットさえ回復すれば即座に役所業務が継続できた。それだけもどれだけ楽になることか。災害の状況を即座に把握でき、必要な対処も行えたはずだ。もちろんそのためには住民基本台帳だけでなくそれ以外の役所業務も集中的にホスティングされていなければならない。この話の前提にはシステムは集中でも、データが分散してバックアップされており、かつ待機システムも分散していることがある。集中型システムだからといってすべて集中しているわけではない。Googleがよい例だ。つまりはクラウドだと考えればよい。住基ネット開発時にクラウドの考えはなかったが、集中と分散、バックアップの考え方は普通にあったので設計ミスを言い繕うことはできないだろう。
災害によってデータを失った自治体はその失敗の余波にさらされているといえる。二度と重要なデータを失うことのないようになるべく早く住基ネットの再設計を行うべきだ。

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