2009年4月2日木曜日

仮想水

仮想水(virtual water)は、国内で直接消費される物理的な水ではなく、食料などの輸入品の生産に用いられる水資源を指す。日本は物理的な水は、ときどき渇水になるものの、潤沢だ。しかし、食物の多くを輸入に頼る仮想水は不足している。
しかし、素人なので、どうもこの仮想水の議論には疑問を感じる。
仮想水まで含めると日本は水不足だという。これは食物を100%自給すればという非現実的な仮定にたっている。もっとも自給率は100%でなくても仮想水を含む水不足は解消できる。そのぎりぎりの自給率がいくつなのかわからない。
次に、自給率が低いのは経済的な合理性の故だ。水不足のためではない。極端なことを言えば、いくら金をかけてもよければ、自給率を100%にすることも決して不可能とは言えない。少なくとも江戸時代は自給できていたのだ。そして、人口は増えたが、農業技術も進歩している。生産性は人口ほどには増えていないかもしれないが、相当に金をかけて無理をすれば何とかなると思う。
また、仮想水では淡水を対象とするので、海産物の水資源がどのように扱われるのかわからない。海水から抽出される水も同じだ。これらは無から有が生じるようにモデル化される。
貿易をする以上は、必ず資源の出入りがある。これを強制的にバランスさせることは難しい。もしあえてするなら、それは同じもの同士の物々交換になり、交換する意味がない。日本は、仮想水を輸入しているかもしれないが、それ以上のものを輸出しているはずだ。例えば、水を使って生産された半導体も、仮想水の成果物に違いない。

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