2009年3月13日金曜日

プライベートクラウド

プライベートクラウドは組織内で完結するクラウドで、GoogleやAmazonのような本来のクラウドをパブリッククラウドという。
パブリッククラウドの利点は明らかだ。組織外の遊休資源を安く利用することで、提供者と利用者がWin-Win関係を構築できる。
しかし、プライベートクラウドの利点は明らかでない。プライベートクラウドを進めるベンダーは自社製品を売り込みたいだけだ。自社製品にクラウドで必須とさせる仮想化機能を付加し、資源活用の効率化を実現してはいるものの、単にHWが眠っているだけにすぎない。省エネにはなる。しかし、製造時のエネルギーは回収できない。利用料は確かに安くなるかもしれない。しかし、製品価格など契約次第だ。付加価値だといわれれば下がるはずもない。従来製品よりよいことは間違いないが、それだけのことだ。企業内システムにイノベーションをもたらすことはできない。
ただし、プライベートをパブリックへの通過点ととらえるなら無意味ではない。自社システムを一気にパブリッククラウドに移行することは難しい。特にレガシーをかかえた大企業であるほど難しい。そのため最低限のプライベートクラウドに移行した後、パブリックへ移行するという段階的な移行が考えられる。システムの結合を緩める一案としては悪くない。

と、ここまで書いて見直すと、自分の本意が伝わっていないことが明らかだ。この記事を見ると、プライベートクラウドにも意味がない訳ではないと聞こえる。そうなのだが、本当にいいたかったことは、プライベートクラウドにはその程度の意味しかないということだ。
段階的な移行は現実的に思えるかもしれない。しかし、よく考える必要がある。大規模なシステムのリプレースは早くても5年単位だろう。プライベートクラウドで5年待つということは、その5年を無駄にするかもしれないということだ。5年後がパブリッククラウドだとわかっているなら、時間を無駄にすることはない。
段階的移行というより試作と言い換えるべきかもしれない。プライベートクラウドは試作には適している。
もう1つの大きな利点は、サービスレベルをコントロールできることだ。サービスプロバイダーならば自身のサービスレベルを保証することが求められる。しかし、パブリッククラウドでは難しい。
しかし、このようなサービスレベルは事業継続性などの点からも重要と考えられているが、身の丈にあったレベルにするべきだ。おそらくごく一部の企業を除いて現在のサービスレベルは高すぎる。障害などあって当たり前と考えた方がよい。もちろんその対応に人件費をかけたのでは元も子もない。

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