2009年6月1日月曜日

電子ブックリーダーの影響

米国ではAmazon Kindleがブレイクしつつある。いったん動き出した流れは変えられない。やがて米国の書籍はほとんど電子化されるだろう。そして、米国の流行は日本にも普及する。
そうなってからうろたえても遅い。その前に予測して対処することが必要だ。
電子ブックは印刷が不要で、配信が容易だ。この2つの特徴が産業構造を変える。
通常の意味での大量印刷はなくなる。印刷会社の収入は大幅に下がる。何もしなければ生き残れない。
しかし、日本の大きな印刷会社は印刷技術を様々に応用しているので、減収こそすれ倒産にはならないだろう。しかし、そのような応用技術のない中小印刷会社は先がない。
また、販売方法がネットからのダウンロードになるので書籍を店頭展示する本屋がなくなる。印刷の本より電子ブックの方が安いので消費者が選択しなくなるからだ。本屋から万引きもなくなるが、購入もなくなるので書店は姿を消す。しかし、状況によっては残る可能性がある。それは古本を活用する場合だ。
古本もなくなるように思えるが、必ずしもそうではない。消費者が本を読むとき、そのコストは新書の購入費から古本の売上を引いたものになる。つまり、この差額が電子ブックより小さければ紙の本にも競争力がある。つまり、いままで本屋と古本屋は犬猿の仲だったが、生き残るには一体化するしかない。機能の敵は今日の友だ。
電子ブックでは違法コピーの影響を看過できないので古本はありえない。この点が紙本の利点だ。
しかし、それでも苦戦を強いられるだろう。CDとMP3の争いを見れば明らかだ。電子ブックが価格競争を仕掛ければ太刀打ちできるビジネスモデルはほとんどない。結論からいえば両者とも友倒れだろう。
また、このゲームの勝者は誰だろう。電子ブックリーダーのメーカーは勝者に属するが日本企業ではないだろう。次に出版社は利益率が向上するので勝者だろう。その他新聞や週刊誌も流通コストが削減され復活するかもしれない。しかし、週刊誌はともかく、ニュースをたれ流すだけの新聞は受け入れられないだろう。ニュースの裏側をきちんと解説する能力が問われるだろう。まとめるとコンテンツ開発者は勝者といえる。
学生は将来の産業構造も予測して就職した方がよい。

0 件のコメント: