2007年7月6日金曜日

PC as a Service

SaaS(Software as a Service)という語が流行している。
サービスとしてのソフトウェア、その意味するところは2つあると考える。1つはWebサービスで構成されるソフトウェアであり、これは狭義のSaaSである。もう1つは、ソフトウェアはパッケージを売るのではなく、問題解決の手段として、つまりサービスとして販売するという意味である。後者は広義のSaaSといえよう。
いずれの場合も必然的に似た構成をとる。自社で開発いたシステムをそのままパッケージで販売すると、顧客は自分でマシンを用意し、インストールし、管理まで行わなければならない。いずれも顧客にとってコストアップになる。そこで、システムをサービスとして提供し、使用料として課金する。顧客は余分なコストを払わず、必要なとき必要な分のコストだけ払うので、一般的に安価となる。開発会社は開発費に加え運営コストを必要とするが、売りっぱなしではなく継続的に使用料を徴収できるので利益率を高く維持できる。また、複数の顧客に対しサーバを共用することで運営コストを低く抑えることができる。
このようなSaaSが今ブームとなっている。
しかし、このような方式を必要としているのはソフトだけではない。むしろ、陳腐化や消耗の激しいハードこそサービスとして購入したいと考える企業が多いのではないだろうか?
みながそう考えればそれに応えるものが必ず現れる。ビジネスになるからだ。
このようなハードの代表としてパソコンを考え、それをPaaS(PC as a Service)と名付ける。
PaaSを実現するには2つのものが必要になる。端末とサーバである。クライアントではなく端末と呼んだのは基本的に入出力しかしないからだ。端末は十分安価でなければならない。なるべく均質にし、大量生産でコストを下げる。
一方、サーバは仮想マシンを実行し、端末に対して仮想的に1台のPCを提供する。
ただし、このままでは過去のシンクライアントと変わらないので、おそらく失敗する。
シンクライアントが失敗した理由の1つはすべてをサーバに集中させたことにある。サーバは確かにクライアントより高性能であるが、両社のCPUに天地ほどの差があるわけではない。金額もさほど違わない。特にエントリークラスのサーバはオプションをフル装備したクライアントよりむしろ安い。つまり、1台のシンクライアントを動かすのに1台のサーバを使う。言い換えれば2台のPCに1台分の働きをさせる。冗談のようなシステムだ。
そこで、現在はクライアントをもっと働かせるシステムが必要となる。つまり、サーバの仮想マシン部分を一部クライアントに移動させる。
例えば、仮想マシンソフト自体をアプリケーション配信する。クライアントはハードが変更されても一定の機能を維持する。機能はサービスとして提供される。また、サーバの負荷は下がる。というより、サーバはライセンス管理ぐらいしかすることがないので、暇になる。
そこでもうひと工夫する。クライアントの負荷をサーバが請け負う。また、他の暇なクライアントを仲介する。つまり、ビジネスグリッド兼P2Pだ。
まったく同じではないが、これに似たシステムがないわけではない。例えばPlanetLabだ。しかし、PlanetLabはLinuxに限られる。ここで提案するシステムはOS自身をユーザが自由に選択できる。
ただし、PlanetLabでもユーザレベルの仮想OSを使うことで非Linuxマシンをエミュレートできるだろう。

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