2008年3月6日木曜日

DVDの未来

日本企業は戦後の好景気に乗りメディアで儲けてきた。その栄光がなかなか忘れられない。
しかし、DVDというメディアでコンテンツが流通する時代はそう長くないかもしれない。なぜならiTune Storeのようにコンテンツがネット配信される時代になってきたからだ。
DVDとネットの配信方法と利益構造を考える必要がある。
DVDはいったん購入しさえすれば何度でも見ることができる。何度も見るコンテンツはDVDが有利だ。しかし、この議論にはネット配信は1回の視聴に課金されるという前提がある。その前提がなくなり、金さえ払っておけばいつでも(そしていつまでも)視聴することができるとしたら、DVDの利点は失われる。
また、DVDに何度も見たいコンテンツがそんなにあるのかといえば疑問だ。我が家で一番人気のDVDは子供番組だ。子供は飽きずに何度も繰り返してみている。そのうち全部のセリフを覚えてしまうだろう。余談だが、子どもにとって日本語も外国語のようなものなのだろう。まずはセリフの丸覚えからはいるようだ。話を戻すと、それ以外の有名映画タイトルは年1回見るかどうかだ。単なる所有の満足感で終わっている。つまりDVDで買う必要は元々ないのだ。
また、DVDを持っていれば一生ものかといえばそうではない。再生機器が故障し、新たなメディアが登場すれば、機器が収束する。間もなくVHSも見ることができなくなるだろう。VHSを所有している人の被害はHD DVDどころではない。メーカーは10年間しか見ることのできないものを売っているのだ。しかし、消費者はそう思わずに購入している。そろそろVHSタイマーが鳴り出すのではないだろうか?そのときメーカーはどのように対応するのだろう。
一方、ネット配信は視聴する権利だけを安い値段で購入し、いつまでも楽しむことができる。機器が進歩すれば追加料金を支払って高画質の映像に転換することも可能だ。
また、小さなコンテンツは安く、個別に購入することもできる。
また、常に配信し続けてくれるなら、視聴権を購入するのではなく、その都度リーズナブルな視聴料を支払ってもよい。映画館に映画を見に行くつもり、あるいはDVDをレンタルするつもりで支払えばよい。しかし、映画館ほどの臨場感はないものの、DVDレンタルほど手間がかからない。ネット配信は大変便利だ。
ネット配信のメディアにはPCだけでなく携帯も含まれる。すべての人がいつでもコンテンツを視聴できる環境はすでに整っている。
BDのように高画質のコンテンツをネット配信することはまだ無理がある。しかし、P2Pを使いダウンロードに時間をかければ不可能ではない。むしろ容易に実現できる。その場合BDレンタルより便利かどうかはわからない。今のBitTorrentのようなP2PではDVD1枚のダウンロードに3日くらいかかることもある。P2Pはクライアントすなわちコンテンツの人気次第だ。
最初にたくさん払うDVD方式と少しずつ払うネット方式のどちらが最終的に消費者のためになるかは結局使い方に依存するが、自分の場合ではネット方式の方が安くなると思う。しかし、ネットでも抱き合わせ販売というか、パック販売だと不要なものまで買わなければならない。1度目の視聴ではパックの方が安いが2度目に特定して視聴したい時には個別販売でないと損をする。
BD対HD DVD戦争の勝者は、もしかしたらいち早く新たなビジネスモデルに転換できる東芝なのかもしれない。
現在のネット配信はストリーミングが主流だが、高画質コンテンツにストリーミングは適さない。今の日本でも苦しい。となれば10年たっても世界では普及しない。
ストリーミングではなくビデオポッドキャスト、しかもP2Pへ行くべきだろう。もちろんDRMはいらない。海賊版はGoogleで見つけ次第排除する。その仕組みを自動化すればよい。
このシナリオではDVDとネット配信を比較したが、DVDに比肩できるメディアがもう1つある。それはフラッシュメモリだ。今はまだBDの方がフラッシュメモリより安い。しかし、その差は徐々に縮まっていくだろう。さすがにフラッシュメモリの方が安くなることはないかもしれない。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能なので無駄がない。情報端末でダウンロードし、書き込んでもよい。
東芝はフラッシュメモリに強いことで有名だ。その路線を選択するかもしれない。しかし、その路線はしょせんメディアの延長線上なので本質的でないと思う。問題はどのメディアを選ぶかではなく、メディアを使い続けるかどうかだ。

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